最近イベント会場などでチューブレスシステムを使われている方々から「私のタイヤの適正空気圧ってどれぐらいですか?」と聞かれることがあります。
まず、基礎としてチューブレスタイヤの空気圧はホイールのリム幅・タイヤ幅、そして、目的や走り方、路面状況、天候、さらには皆さんの体重などによって最適な空気圧に変化させる事が出来るのがチューブレスシステムの強みなのです。
ちなみに、従来のチューブを入れるクリンチャータイプだと、空気圧をコントロールする上で、地面からの衝撃に対してリムと地面でチューブを挟まない様にする為に空気圧を一定以上下げる事ができません。
さらに走行時にタイヤの変形する箇所に二重の厚み(タイヤ&チューブ)がある事で硬さが出てしまいしなやかさが減退します。
そこで乗り心地を良くしようと空気圧を下げてしまうと、タイヤの変形量が大きくなり変形に対しての負荷が発生してしまうという構造になっていました。
しかし、チューブの無いしなやかな構造のチューブレスシステムは皆さんの走り方や目的に応じた最適な空気圧を選択しても抵抗値を上げる事なく快適に走行する事が出来る理にかなったシステムなのです!
では、どの様に空気圧を選べばよいのか?いくつかの例を挙げて説明してみましょう。
まずは!絶対に守ってほしいのが
◆最大空気圧
まず、チューブレスシステムの空気圧で一番大切なのは最大空気圧(リム幅&タイヤ幅に対して)を超えないこと!
これは、従来のクリンチャータイヤに比べてチューブレスタイヤはビード部分(リムに引っかかる部分)の強度が高いので無理に空気圧を上げるとリムに大きな負荷がかかり破損に繋がってしまいますので必ず守ってください!
推奨最大空気圧:https://technicalmanual.mavic.com/tech-mavic/technical_manual/data/docs/themes/18_72.pdf
では、次は自分の適正空気圧って何を基準に設定すれば良いのですか?
ここからは人物像のケースを挙げて説明しますので参考にしてください。
MAVICスタッフKさん
体重 66kg
使用バイク:ロードバイク/グラベルバイク
▶ロードバイク仕様
使用ホイール:ロード CosmicSLR32D(リム内幅21㎜ワイドタイプ)
使用ホイール:ロード Yksion pro USTⅡ 28C
▶グラベルバイク仕様
使用ホイール:グラベル CsmicSL32D(リム内幅21㎜ワイドタイプ)
使用ホイール:グラベル パナレーサーグラベルキング 32
そんな彼が!
Location①
今日は晴天なのでロードバイク:タイヤ28Cに乗っていつものトレーニング仲間と真剣に山岳トレーニングにいきます!
そんな時の彼の空気圧は → フロント 4.7Bar 68Psi/リヤ 4.9Bar 71Psi
理由1:強度の高い高速域のトレーニングなので少し高め
理由2:峠での高速ダウンヒルがあるのでコーナーで体重を乗せてもタイヤが捻じれないように
理由3:その中でもグリップ力が確保できるギリギリの空気圧を設定
Location②
今日は晴天なのでロードバイク:タイヤ28Cでロード初心者の社員を引率して街中のカフェライドに行きます!
(もうカフェはあきらめたくなっている初心者社員たち)
そんな時の彼の空気圧は → フロント 4.0Bar 58Psi/リヤ 4.1Bar 59Psi
理由1:トレーニング時と同じ28Cの仕様だが低圧にして乗り心地重視の空気圧設定
理由2:高速域で走らないのでグリップ・快適性を重視した空気圧
理由3:低圧にする事でマンホールや溝蓋や路面の割れ目などを気にせずに走りたい
Location③
今日は雨模様で地面が濡れている中を、グラベルバイク:タイヤ32Cで通勤します!
そんな時の彼の空気圧は → フロント 3.3Bar 38Psi/リヤ 3.6Bar 52Psi
理由1: 仕事用の荷物を背負っているので路面の衝撃を兎に角和らげたい
理由2: 通勤ルートはゴツゴツした路側帯を走るので低圧で衝撃干渉重視
理由3: 路面が濡れているのでスリップ対策として更に路面とのコンタクトを重視
Location④
週末にグラベルバイク:総計80キロの林道散策を楽しむ旅! タイヤ32Cに乗ってアスファルトのオンロードで山のふもとまで、オフロード走行の空気圧に変更してグラベルライドを楽しんだら、帰りはまたオンロード設定の空気圧に戻してアスファルトを走って帰って来る!
そんな時の彼の空気圧は オンロード→ フロント 3.9Bar 57Psi/リヤ 4.2Bar 61Psi
オフロード→ フロント 2.9Bar 42Psi/リヤ 2.9Bar 42Psi
理由1: 移動のオンロードは少し高めに設定してタイヤの変形量を減らした低抵抗重視の空気圧
理由2: 山に入る前には、砂利道でのグリップを最大限重視した超低圧の仕様で快適なオフロードへ
理由3: 山から出てくれば、再度ポンプで空気圧を上げてオンロードを低抵抗重視で帰って来る!
いかがでしたか?
一人の人物で同じホイール&同じタイヤであったとしても、ロケーションや目的に応じて空気圧の設定を変えることが出来て、さらに同じホイールであったとしても、タイヤのサイズや使用の目的が変われば、もっと様々な空気圧に設定し、快適性・安全性・走行性能などのバランスをコントロールできる!
これがUSTチューブレスの利点なのです。
ただ単に『低圧に出来る』のキーワードではない事を分かっていただけましたでしょうか?
是非皆さんも、自身のライドスタイルにあわせた空気圧を見つける為にエアーゲージを準備して自身の好みの空気圧を探してみてくださいね!